心理カウンセラー

ストレス社会に必要な心のケアの専門家

心理カウンセラーとは

心理カウンセラーとは心に問題や悩みを持った人の相談にのる心の専門家です。

うつ病やストレスが原因の病気が大きな社会問題となっています。会社や学校、社会の中で精神をすり減らす人も増えており、人の悩みに耳を傾け共感を示す心理カウンセラーという職業が必要とされています。

主流の来談者中心療法

日本の場合、カール・ロジャーズの「来談者中心療法」をベースにしたカウンセリングを学ぶことが多いです。

来談者(=クライエント)を中心とした心理療法で、 カウンセラーはクライエントの話を傾聴し、共感を示し、クライエントが自分の力で回復していくことをサポートする手法です。

心理カウンセラーと臨床心理士の資格

ストレス社会と言われて久しい日本社会ですが、心理カウンセラーは必要なのに仕事がないという状況が続きました。心理カウンセラーを教育するシステムや、クライエントと心理カウンセラーを結ぶシステムが整っていなかったのです。

そんな中、1990年頃から心の専門家を養成するシステムを作ろうと臨床心理士という資格が誕生しました。今はまだ民間資格という位置づけですが、国家資格を目指すと言っています。

心理カウンセラーのなり方と学校

心理カウンセラーになるには、いくつかの方法があります。

臨床心理士の資格を取る

心理カウンセラーになる一番確実な方法は、大学院を出て「臨床心理士」の資格を取るコースです。指定の大学院を修了すると臨床心理士試験の受験資格を得ることができます。

臨床心理士になれば、病院やクリニックだけでなく、スクールカウンセラーや心理相談員などの仕事に就くことができます。

精神科医になる

病院の精神科では、精神科医が心理カウンセリングを行っています。実は、テレビでよく見る有名な心理カウンセラーは精神科医の方がほとんどです。

カウンセラーと精神科医の大きな違いは、精神科医が薬を使った治療ができること。精神病は投薬が必要なケースも多く、仕事の幅が広がります。

精神科医になるには、大学の医学部で学び医師国家試験に合格する必要があります。

民間のカウンセラー養成スクールで学ぶ

心理カウンセラーになる最も簡単な方法は、民間のカウンセラー養成スクールで学ぶコースです。心理カウンセラーには国家資格がないため、誰でも心理カウンセラーを名乗ることができます。

その分、スクールの質もカウンセラーの質も玉石混合なので、スクール選びはよく検討しましょう。

民間のスクールで学んだ後も、それだけで心理カウンセラーとして仕事をしていくのは難しいので、アロマテラピーやカラーセラピーなど、複数のセラピー技術を習得している方が多いです。

心理カウンセラーの仕事と収入

心理カウンセラーの就職先は大きく分けて「医療分野・教育分野・産業分野」に分類されます。

医療分野

病院の精神科・心療内科、開業クリニックなど。

病院での投薬による治療と並行して、カウンセリングによる心理療法を行います。ただ、病院では心理カウンセラーの行うカウンセリングには保険が適用されないことが多く、経営上の理由から常勤の仕事は多くありません。

教育分野

スクールカウンセラー、学生相談室など。

スクールカウンセラーは、子ども達の心の病の早期発見・予防のため設置されている職業です。スクールカウンセラーになるには 臨床心理士の資格がほぼ必須となっています。

臨床心理士の大きな職域として注目されていたスクールカウンセラーですが、常勤での仕事は少なく、一人の臨床心理士がいくつかの学校を掛け持ちするケースが多いです。

産業分野・その他の分野

産業カウンセラーなど。

企業で働くビジネスマンの心のケアのために設置されている職業です。仕事上の悩みや人間関係のほか、家庭内での悩みの相談も多いです。

ほかにも、福祉分野や司法分野、公務員として働く心理カウンセラーもいます。

非常勤の多さが今後の課題

ストレス社会と言われる現在、心理カウンセラーはあらゆる分野に必要な職業だといえます。

しかし、日本では心理カウンセラーの職業としての地位がまだまだ確立されておらず、常勤の就職先が少ない状況です。そのため収入が安定せず、いくつかの仕事を掛け持ちするカウンセラーも少なくありません。

福祉の仕事と並び、心理カウンセラーの雇用環境への取り組みは今後の課題です。
カウンセラーも自ら自分の技術をアピールし、独立したり職場を開拓していくくらいの企画力・営業力も必要となってくるでしょう。

日本の心理学とカウンセラーの展望

日本の心理学はアメリカと比べると10年遅れていると言われています。アメリカでは美容師の数ほどカウンセラーがいて、気軽にカウンセリングを受けられる風土が整っています。

日本の風土としてカウンセリングが浸透しにくい部分もありますが、アメリカのように、カウンセリングはキャリア開発や自己啓発の側面をもち、カウンセリングを受けていることを人に話すことができるようになるといいですね。

問題を一人で悩まずに、カウンセラーに気軽に相談できる社会になってほしいと思います。